スマホの縦持ちで遊べる無料のカードゲーム「LAST CROWN」を公開しました。企画書は私、絵は ChatGPT、コードは全部 Claude Code。
「LAST CROWN(ラストクラウン)」というカードゲームを公開しました。孤島の大会で相手を選んで戦い、勝つたびに相手のカードを奪って、20 枚のデッキを組み直しながら勝ち抜くローグライトの TCG です。スマホの縦持ちで、インストールも登録もなしで遊べます。
今回は企画書を 1 本渡して、計画を立てて完成させてほしいと頼むところから始めました。翌日の夜には公開できていたので、何が速かったのか、そのあとどこを直したのかを、ざっくり書いておこうと思います。
どんなゲームなのか
コレクションから 3 枚を選び、スターター 17 枚と合わせて 20 枚で出発します。5 人の候補から戦う相手を自分で選び、勝つと相手のテーマの 5 枚パックと、相手の切り札 3 枚から 1 枚がもらえます。手に入れたカードで 20 枚を組み直し、これを 4 ステージ繰り返して、最後に大会の主催者に挑む、という流れです。
使えるのは、そのランで出会ったカードだけ。誰と戦うかで手に入るカードが変わるので、毎回ちがうデッキになります。ルールは単純にしてあって、罠も相手のターン中の割り込みもありません。自分の番にやることだけ考えればいいんです。負けても 1 枚は持ち帰れるので、コレクションは増える一方です。

物語は、地図にない孤島で開かれる大会に招待されるところから始まります。優勝者には「望むものを、ただ一つ」。負けると招待状が届いた日に戻るループもので、結末は 3 つから選べます。カード 161 枚、デュエリスト 38 人。全員に立ち絵と会話があって、最高レアのカードには技名つきの必殺技の演出が入ります。1 回は 40〜50 分くらいです。
なぜカードゲームにしたのか
これまで AI でいくつかゲームを作ってきて、分かったことがあります。AI で完成させやすいのは、できるだけ一つの画面で完結するゲームだということです。遊びの要素が絡み合うほど、テストも素材もバランスも大変になります。
うまくいったのが「WILD RUSH ∞」でした。走るコースと動物があれば、画面 1 つで成り立ちます。逆に RPG は、マップも敵も仲間も技も要るし、ルールもふわっとしていて自由度が高い。前作の「いきなりラスボスRPG」で素材と当たり判定に 2 日かかったのは、そういうことだったと思います。
カードゲームは、盤面があってカードの効果さえあれば成立します。決められたルールの中で効果と数値を設定していけば成り立つので、プログラムで作れる種類のものなんです。AI でゲームを完成させるコツは、いかに自由度が少ない中で遊べるゲームにするか、だと思っています。
企画は、いつもどおり ChatGPT と壁打ちして作りました。企画書、150 枚のカードのデータ、AI 向けの引き継ぎ書を 1 つのフォルダにまとめて渡しています。引き継ぎ書には「ルールを勝手に複雑にしない」「カード名で個別に処理を書かない」といった方針を書きました。
私がやったのは「企画書を書いて、ChatGPT で絵を作って、遊ぶ」
依頼は一言です。Claude Code は企画書を読んでから、技術やどこまで作るかを選択肢つきで 4 つ聞いてきて、私は 4 つとも推奨どおりに答えました。計画を承認してから約 2 時間で 150 枚のカードが動き、その夜のうちに会話、演出、音、セーブまでそろっています。
最初は公開しない予定でした。翌日の夜、このゲームは自分のサーバーに置けば遊べるものなのかと聞いたら、静的ファイルを置くだけで動く作りだと分かって、25 分で公開しています。

絵は立ち絵、背景、カードのすべてを ChatGPT で作りました。Claude Code が「何を描くか」の指示書を書き、私が ChatGPT で作り、Claude Code が縮小して取り込む、という分担です。立ち絵 41 枚、背景 9 枚、カード 162 枚が 2 日でそろいました。効果音と BGM は音声ファイルを使わず、すべてその場で合成しています。
私の指示と返事は 3 日半で 109 回。「入れました」「反映してください」のような短い連絡も多いです。Claude Code のほうは、コミット 86 件、テスト 315 件、コードは TypeScript で約 2 万 2 千行でした。
詰まったところ
いちばん最初に揉めたのは人物の設定でした。Claude Code が書いた登場人物は、竜と共に育った青年や、手のひらに火を灯す人物といったファンタジーの住人だったんです。このゲームで魔法を使うのはカードの中身だけ。全員を「カードで戦う普通の人」に書き直してもらい、竜使いは牧場育ちの青年、墓場荒らしは中古カード屋の店主になりました。
バランスでは、シミュレーションと実機の感想がぶつかりました。Claude Code が HP を 20 から 30 に上げたところ、実際に遊ぶと山札切れで負けるだけの試合ばかりになります。完成したデッキ同士でしか測っていなくて、序盤の弱いデッキでの遊び心地を見ていなかったのが原因でした。測り直して 20 に戻し、以後は実機の感想をシミュレーションより優先することにしています。
CPU も作り直しました。自動プレイではクリア率ほぼ 0% と出ていたのに、私が遊ぶと最終ボスまで普通に行けたからです。弱い CPU ほどわざとでたらめな手を指し、1 手先しか考えていませんでした。ターン全体の手順を比べて相手の反撃まで読む CPU にしたら、新しい CPU のいちばん弱い段階が、前のいちばん強い段階とほぼ互角になっています。

ほかにも、好きな作品の題名の並びをそのまま章の名前に使っていたのを止めたり、登場人物のセリフに設定を詰め込みすぎて唐突になっていたのを直したりしています。iPhone でだけ画面の一部が切れる、ホーム画面に追加した人に更新が届かない、といったスマホの実機でしか起きない問題も、私が遊んで見つけたものです。
詳しくは Zenn で書きます
カードの効果をデータで表す仕組み、シミュレーションでルールの数値を決めるやり方、CPU の作り直し、スマホの地雷。そのあたりの細かい話は、後日 Zenn で記事にまとめる予定です。
難しさは「20 回くらい遊んで 1 回クリアできる」を目標に調整してあります。ここからは、実際に遊ばれた数字を見て詰めていくつもりです。
まずは遊んでみてください。スマホを縦に持って、TAP TO START を押すだけです。感想をもらえたらうれしいです。